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【ネタバレありレビュー】映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」感想

今年も花火大会には行けそうにない……夏野かいわれです。
シャフト制作による映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を初日に観に行きました。
感想をぶっちゃけてしまうと、すごくつまらなかったです。
いつもの映画レビューよりネタバレと批判が多めですのでご留意ください。

ストーリー

茂下(もしも)市を舞台に「もしも〜だったら」を叶える「もしも」の話。
両親に家出が見つかっては何度も連れ戻されてしまうヒロインのために、時間を戻す不思議な玉を使う主人公。
夏休みの1日を繰り返すたびに、ヒロインへの恋心を募らせる主人公。
果たして家出(駆け落ち)の結末は……?
夏休み・家出(駆け落ち)・タイムリープと、いかにも胸キュンしそうな要素がてんこ盛り。


ちなみに時間を戻す不思議な玉は「もしもあのとき2人で電車に乗れたら〜」と思いながら投げるという使用方法。
なんでも90年代に放映されたドラマ版には登場しない、劇場版だけのオリジナルアイテムとのこと。

「持ち運びに便利なもしもボックス」をイメージするとわかりやすいかと。

つまらなかった点

登場人物にまったく感情移入できない

雰囲気重視のアニメ映画です。
キャラの心情を深掘りせず、表情や行間で楽しませようとするタイプの映画。
ただ、それも限度があると思います。
あまりにも登場人物の心情がカットされすぎていて、誰にも感情移入できませんでした。


このシーンでこのキャラは何を考えていたでしょうか!?と、観客に丸投げ状態。
複数回映画を見ればより深く理解することができるとは思いますが、残念ながらそんな気力はとても湧いてこず。

 

本作品はそもそも上映時間が90分と、ほかの映画と比べて少し短め。
その90分の中できれいにまとまっているならよいのですが、30分プラスしてでももっと心情を描いてほしかった、というのが正直な気持ちです。

主演2人の演技が……

主人公・ヒロインの声を担当されているのが、大人気の菅田将暉さんと広瀬すずさん。
が、残念ながら声優のお仕事には不向きだったようです。
ジブリ映画とは違い、主演以外のメインキャラクターはプロの声優さんで固められているため、かなり目立ちます。
悪い意味で。
余談ですが、鑑賞中に3DSのゲーム「レイトン教授VS逆転裁判」の思い出がよみがえりました。

裁判パートでのナルホドくん(CV.成宮寛貴さん)とジーク検事の「異議あり!」合戦を聞いて「たった一言なのにやっぱプロの声優さんってすごい」と感動した思い出です。
そういえば今回もジーク検事役だった宮野真守さんが、主人公のライバル?的立ち位置でしたね。
ものすごいデジャビュ。
やっぱりプロの声優さんってすごい。

ストーリーも説明不足な点が多すぎる

登場人物の心情もさることながら、ストーリー面においても説明不足な点が多すぎると感じました。


たとえば宮野真守さん演じる主人公の親友と、その両親と何やら確執がありそうだと匂わせておいて、以後その問題には触れない。
主人公がヒロインのためだけに作った2人だけの世界のはずなのに、突然酔っ払った花火師のおっさんが紛れ込んでくる。
映画の最後、夏休みが明けても出席しない主人公。
そもそもあの時間を戻す不思議な玉ってなんだったの?


という疑問がポンポン浮かび上がるほど、上映中「?」なことばかり。


ただ、主人公が夏休み明けに出席しなかったラストシーンについて、同行者は「駆け落ちに成功した」という解釈でした。
言われてみればそう思えなくもないような……
私は終始「?」の状態でしたが、日頃から物語の考察が好きな人にはなんとなくわかるようでした。
(「駆け落ちに成功した」という解釈も正しいか不明ですが)

第二の「君の名は。」を期待してはいけない

 公式サイトやPVを見ると、「1日を繰り返す」「夏休み」「奇跡」「運命」という耳触りのいい言葉が並び、オタク以外の一般層にも受けそうな感じを受けます。
そう、例えば「君の名は。」のような。


そんな期待をもって映画を鑑賞すれば、失望感が強くなりそうなので、映画開始と同時に一切の期待を捨てることをおすすめします。
「繰り返す夏休みの1日の中で、何度も恋をする」というテーマですが、そこまで言うほど1日を繰り返してないです。


予告編PVを制作された方はすごいセンスをお持ちだな、と感銘を受けました。

楽しめた点

風景の描写や音楽は美しい

 港町が舞台なだけあり、プールの水や海、展望台や線路の風景。
そしてタイトルの一部でもある「打ち上げ花火」の作画も見せ方もすごく美しいです。

個人的には水の流れの描写が強く印象に残りました。
音楽も同じく美しい。
ヒロインが作中で突然、松田聖子さんの「瑠璃色の地球」を歌い出した時はびっくりしましたが。

物語シリーズファンは楽しめたらしい

「らしい」としたのは、私が物語シリーズを未視聴なため。
同行者が物語シリーズのファンだったのですが「一般受けしやすいきれいな物語シリーズ」という感想を述べていました。
あわせて「結構楽しめた」とも。

総評

人を徹底的に選ぶ雰囲気重視映画

文字数が2000文字をオーバーする本記事の9割がdisなことからもわかるように、私はかなりつまらないと感じました。
しかし、同行者は「結構楽しめた」と意見が真っ二つ。
考察や作品を様々な視点で自ら掘り下げることが好きで、かつ物語シリーズファンなら楽しめるのかも?
ただし、絶対に第二の「君の名は。」として観に行くことはオススメしません。
あらゆる点でまったくの別物なので。

(8/22追記)酷評について思うこと

このレビュー記事も酷評が多く含まれてしまいましたが、「この映画は文学作品として観るべき」という意見も拝見しました。

確かにそう言った目線で最初から観れれば、評価も違ったかもしれません。

 

ただ、今回の酷評は制作側の宣伝の仕方に問題があったと思います。

主役に人気俳優を据えて、番宣もそのお二人を主として打てば、第二の「君の名は。」を期待して観に行った層がいて当然でしょう。

そしてその層が低い評価を下すのも仕方のないことだと思うのです。

映画を実際に制作した側と、プロモーション側が噛み合ってなかったことも酷評を生んだ大きな要因かと。

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